葛飴   毎日葛を食べよう

本物の葛って!?

日本国中いたる所に自生する葛は、秋の七草の一つです。藤色の可憐な花が円錐状に群れをなして咲き、とても鮮やかです。

秋の七草は、万葉集の山上憶良のうたに、「秋の野に咲きたる花を指折り、かき数ふれば七草の花」と詠まれています。

葛の花、萩の花、尾花(すすき)、なでしこ、おみなえし、ふじばかま、きききょう等、初秋の風情を醸す草花として古来より愛されてきました。

葛は花を楽しませてくれるだけでなく、葉、茎、根とすべてが焼く立つ物で、古人は生活の様々な場面で活用してきました。現在では、主に根が薬や食用に使われます。

花は、天ぷらや和え物に、若葉は蒸しておひたしにして食べられます。

花や葉には、豊富な栄養素と有効成分が含まれてます。

茎は、強靱な繊維質で出来ており、袴、ふすま、とばり、雨具、こうりなどに用いられました。

現在では、主に根が薬や食用に使われます。乾燥した根は葛根湯の素材としてよく知られています。葛の根茎からでんぷんを抽出したくず粉は、調理や菓子の材料に広く使われています。あんかけ、くずきり、葛そうめん、葛だまり、葛なり、胡麻豆腐など様々な調理の素材になります。葛を使った菓子は、葛団子、葛まんじゅうくず餅、葛ちまきなど多彩です。

葛根湯の名でよく知られている漢方薬は、葛根(くずのね100%)を主に、マオウ、ショウガ、ナツメ、ケイシ、シャクヤク、カンゾウを調合したもので、発汗、解熱剤として、風邪の代表的な薬です。

また、リュウマチ、アルコール中毒、止血にも有効とされています。アルコール中毒や二日酔いには、花を煎じて飲むか、陰干しした花を粉末にして飲むと効果があります。切り傷の出血には、生葉の汁をつけると止血されます。

今日では、もっぱら葛の根が使われています。葛の根を絞ってさらし、でんぷん質の部分を取り出して乾燥粉末にした葛粉が製品として世に出ています。

注意しなければいけないのは、100%葛の製品がほとんど無いということです。「本葛粉」と表示されていても、葛の量は、60%以下の物が大半です。大部分が、じゃがいも、サツマイモのでんぷんです。

じゃがいもでんぷんが入った物は、病人がこれを食べると症状が悪化します。特に、アレルギー、浮腫、血行不良、冷え、痛み、炎症、粘膜の腫れなどは、急速に悪化します。

ガンや脳梗塞などの病気は、危険な事態に陥る危険さえあります。くれぐれも100%葛を確認して選ぶことが大切です。

葛は単体でも多種多様な効果があります。

血液を浄化して循環をスムーズにし、血圧を安定させ、体を温めます。

免疫システムを整えてアレルギーを改善し感染症を予防します。

筋肉や靱帯を柔らかくして関節や骨を強化します。

炎症を取り、痙攣を鎮めます。

自律神経を安定させホルモン分泌を高め、老化を防止します。

体内の毒素を中和し、解毒し、排出します。胃、腸、肝臓、腎臓、副腎、膵臓、脾臓、心臓、血管呼吸器等の機能を高めます。

葛のお菓子いろいろ

このような万能といわれる葛は、いろいろな食べ方がありますが、葛湯、葛がきなどが一般的です。健康のため毎日葛を食べることは、大きな効果が期待できます。飽きずに長く続けるためには、食べ方にいろいろ変化をつける工夫もあった方が良いでしょう。

今回は葛を糖化して食べる方法を紹介します。

葛は、デンプンが主成分で、そこに有効成分のダイゼイン、ダイジイン、プエラリンーキシロイド、アラキンサン等が含まれています。ブドウ糖(グリコース)が多数結合している多糖類のデンプンは、そのまま食べても消化酵素の作用を受けにくく、ほとんど吸収できません。

乾燥葛を水にといて熱を加えると、透明感のあるゼリー状の物になります。これは、デンプンの分子が水分子と結合して消化酵素の作用を受けやすいαデンプンの形に変わった状態です。

これを食べると、唾液中のアミラーゼによっていちぶが分解され、胃に送られます。胃の中では、デンプンは変化せず、小腸に入り膵液中の多量のアミラーゼによって分解され、ブドウ糖に皮って体内に吸収されます。このとき、有効成分も一緒に吸収されます。

この一連のプロセスの中で、小腸から吸収される前の段階まで鍋の中で変化させることが出来ます。鍋の中でα化下デンプンに、消化酵素・アミラーゼを加えると水飴(麦芽糖)ができあがります。麦芽糖(マルトース)は、ブドウ糖が二個結合して出来ています。小腸壁でアミラーゼの作用を受け、ブドウ糖に分解されて吸収されます。

これは、消化力の衰えてる場合でも、とても吸収されやすい形です。くどさが無く深みのある上品な甘味で、いろいろな料理や菓子にも多く使い道があります。

この麦芽糖に、蓮根、タンポポ、梅肉エキス、生姜などを加えると、これらに含まれる成分と糖が結合してさらに吸収されやすくなります。

日本CI協会より、月刊誌「マクロビオティック」の転載許可をいただき掲載しております。