生産者紹介 ヤマヒサ

少数精鋭の良品を生み出す蔵

「全国1200軒の醤油屋のうち、麹からつくっているのは200軒あまり。 あとは地域の醤油組合や大手さんから生揚(きあげ)醤油を桶買いし、火入れと濃過だけして、 ラベル貼って販売しておられます」と、 ヤマヒサの四代目·植松勝久さん。醤油造りの要である「一麹(麹づくり)、二程(もろみの撹挫など熟成管理)、三火入れ(仕上げの加熱)」の一と二を手掛けないで、 何の醤油屋か…と嘆きたくなりますが、大量生産の安価な醤油を選んでしまうユーザーにも責任があります。
「他社の醤油とうちの醤油の違いを知った上で、選択してほしいですね」·小豆島なまりの穏やかな口調に、 プロの誇りがにじみます。「頑固”本生”濃口醤油」を中心に、ヤマヒサのこだわりを改めてお聞きしました。

自然の摂理に基づいて

「頑固”本生”濃口醤油」は、国内産の農薬不使用栽培丸大豆と農薬不使用小麦、天日製塩法による原塩を原料に、約2年かけて造られた杉樽仕込み醤油です。 1986年、 ムソーがヤマヒサさんに「無農薬原料で天然醸造、しかも菌が活きている醤油を」とお願いして、生まれた逸品です。
繊細な技が必要な麹づくりは、勝久さんの弟の隆二郎さんが担当。 約3日かけてできた麹を杉の大樽に移して塩水と合わせると、もろみの中で乳酸菌や酵母菌が働き始めます。
ここから発酵熟成の段階です。
大量生産の場合、 タンクに菌や酵母を投入し強制発酵させて、 約4カ月で均一な醤油が完成しますが、深みのない味です。 ヤマヒサでは自然の摂理に基づいて、添加ロ物を加えず加温もせず、ぷちぶち音を立てて発酵するもろみに権を入れ、 濃口醤油はじっくり二夏(1年半以上)、淡ロ醤油は1年以上熟成させます。
熟成中のもろみの味に影響するのが、蔵ぐせと桶ぐせ。昔から代々使っている蔵と桶(樽)に棲みついた菌が、 ヤマヒサならではの重厚な風味を醸します。

「開栓後 要冷蔵」の理由

最高の状態に仕上がったもろみを布袋に詰め、昔ながらの方法で搾り、10日から2週間静置して澱を下げたものが生揚醤油。その後”本生”以外は、 火入れして微生物の活動を止め、香ばしい火入れ香をつけます。
ヤマヒサの醤油は全品、開栓後は要冷蔵。その理由は、最後の仕上げの濃過に昔ながらの珪藻土を使うため、 生はもちろん火入れしていても製品に菌がある程度は残るからです。
一方、一般メーカーでは、樹脂膜で菌や酵母を全て除去する限外濃過が主流です。
「スーパーで売っている生醤油にカビが生えず噴出もしないのは、これのおかげ。でも樹脂膜は微妙な風味まで吸着するので、醤油には単純な味しか残らない。だったら原材料のこだわりも無意味、複雑な発酵も無意味でしょう」と植松さん。違いを知って選ぶ、とはこういうことか、と深く納得しました。

ヤマヒサ ”がんこ本生”濃口醤油 1.8L自然食品のお店サンショップのおすすめ

ヤマヒサ ”がんこ本生”濃口醤油 1.8L

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国内産の農薬不使用栽培原料を使い、約2年かけて作られた杉樽仕込み醤油です。
火入れしておらず、風味・コクが抜群です。